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2017年5月11日 (木)

体のバランス

 2本の足で立つ姿勢は人間の特徴の一つです。前肢は体を支える役目から解放され、手として道具を作り、機械を組み立て、今日の文明社会を生み出しました。しかし、2本足で立つことは動物の四つ足歩行に比べて不安定な姿勢であり、それをカバーするために内耳、目、筋肉や腱などの感覚器と、その中枢神経の働きによりバランスの調節が行われています。 皮膚、筋肉や関節からの情報  椅子に座っている体が右に傾くと右側の皮膚に強い圧力がかかります。するとこの皮膚からの命令で体の筋肉は体を左側に戻すように働きます。立っている時や運動している時には、筋肉・腱や関節にも筋肉の収縮を感じとる装置があって筋肉自体の働きを調節しています。 目からの情報  目からの情報もあります。目は周囲の景色を見ることで垂直や水平方向を知ることができます。歩く、走る、あるいは階段を上り降りする時、目で周囲の景色をよく見ています。目は運動をスムーズに行うために必要です。普通は目と耳の情報が一緒になり自分がどのように立ったり、運動をしているかを感じます。 耳からの情報 内耳の模式図  耳の奥には音を聞いたり体のバランスを取る神経と外耳・中耳との接点にあたる内耳があります。  内耳は蝸牛、前庭、半規管とよばれる三つの部分に分かれていますが、何れの部分もその内部は外側が外リンパ液、内側が内リンパ液という液体で満たされています。  前庭には耳石器(卵形嚢・球形嚢)といわれる器官があり、そこにきている神経の先端細胞(平衡斑)では直線運動や重力を感じとることができます。  前庭の後ろにある半規管では体の回転によって内リンパ液が動き、その動きが半規管内にある筆の穂先のようなクプラを動かし、その基(膨大部稜)にある細胞を刺激することで体の回転運動を感知します。  半規管は正式には三半規管とよばれ、三つの半規管はそれぞれが互いに垂直に交わる三つの平面上に位置する輪のような形をした管で、私たちが住んでいる三次元空間を立体的に感知するのに適した形になっています。 運動のしくみ  これらの信号は小脳に集められて、筋肉の協調運動や平衡感覚をコントロールしています。さらに、その情報が大脳皮質にある感覚中枢や連合中枢と呼ばれる所に入り、自分の意志の判断により、運動中枢を刺激して、運動の命令が脊髄を通る運動神経を介して筋肉に伝わり、運動をはじめたり、運動のしかたを変えたりします。  また、感覚器からの信号が大脳皮質に伝わる前に、脳幹、小脳、脊髄などの下位中枢で運動刺激にきりかえられて、動作や姿勢が反射的に調節されることもあります(不随意運動と呼びます)。人間の行動は、意志運動(随意)が反射運動(不随意)を利用して行われます。また、この二つの運動が共に働いて、全体として目的にかなった動作やバランスのとれた姿勢がとられるわけです。

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